■たわごとですかーっ!!■



▼01/12/01【映画館は深刻だ】

大衆娯楽。こう聞いて何を思い浮かべるだろうか?
釣りもあるだろう、遊園地もあるし、カラオケもある。しかし、第一に まず思い浮かべるのは、そう、映画ではないだろうか。昔からデートの定番でもある。
しかし、いつの時代もどこの場所でも人気のこの映画にも、実は非常に大きな問題が隠されているのだ。
映画そのものの問題ではない。それは映画館にある。だが、誰一人として、その問題を持ち出そうとはしない。そこにまた、その問題の奥深さ、深刻さが潜んでいるとも言えよう。
その、映画館における重大な問題とはなにか?

「肘掛け」

まぎれもなく肘掛けだよ、肘掛け。
なにしろ、座席の肘掛けが細いったらないのだ。
これじゃ、ひと一人の肘を置くので精一杯じゃないか。
このことにより、非常に深刻な問題が発生しているのだ。
「いったいどちら側の肘掛けを使えばいいのか?」という問題である。
肘掛けのどこを見ても、「こちら側の肘掛けをお使い下さい」などと言う注意書き を見たことがない。不親切なこと極まりない。

そうこう悩んでいるうちに、ふと見ると両方の肘掛けとも使われちまってるではないか。ただごとではない。なにしろ窮屈なのである。
その格好といったら、まるで、ひどく恐縮しているようにも見えるし、運が悪ければ、捕らわれた宇宙人状態である。
恐縮して映画なんか見たくはないよ。しかも、その映画が、ユーモアた っぷりの映画だったらどうするつもりなんだ。恐縮しながら、大笑いはした くないじゃないか。やっぱり「わっはっは」となかば大袈裟気味に腹を抱えて笑いたい。
え、そうだろぉ?
それがまた、悲しい映画だったとしよう。そんな映画を捕らわれた宇宙人状態で見させられてもみたまへ。客観的に見ても、ますます惨めなこと甚だしいじゃないか。
なにしろオレはチャンスを伺った。隣の肘掛けが開いたら、すぐさま自分の肘を乗せよ う、と。だがしかし、なかなかそのチャンスは巡ってこなかった。敵も去るものである・・・敵だったのか。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。そうこうしているうちに、なにやら相手の肘に落ちつきのない動きが出てきたのである。「ついにきたか・・・」緊張の一瞬だ。
そして、とうとう、肘掛けから相手の肘が移動したではないか。オレはそのチャンスを見逃さなかった。
「もらったーっ!」そうオレは心の中で叫び、ついに念願の肘掛けに自分自 身の肘を乗せることに成功したのである。
「待ってて良かった」
その安堵感は、オレののどを流しそーめんがするすると流れたかのようでも あった。これで、心置きなく思う存分胸を張って映画を見れるぞ・・・

終わってました。
みんな帰るとこだったのね。

映画、それは見る人にとっても、映画以上に様々なドラマがある。


|Back|  |Next|

|Top|