■たわごとですかーっ!!■



▼【集中力と散漫力】 04/02/07

昼時、通り掛かりの食堂へと入る。
平日の昼飯は基本的になんだっていい。頭の中は仕事モードであるため、何を食べようか考えるのも億劫であり、たいていの場合、自動的にその日のランチを注文することになる。
考えることの煩わしさ、平日の仕事中の昼時はとかくそうなりがちである。

どうやら今日のランチは、焼魚定食の様である。その焼魚が何であるのかさえ確認もせずに注文してしまう。したがって仮にそれが金魚でないと言う保証はどこにもなく、まだ金魚なら可愛いが、雷魚なんか出てきた日にゃあ、その迫力に圧倒されるのは目に見えており、慌てることは想像に堅くない。
もし万が一、出てきたものが人魚なんかだったりしたら、なんだか妙に嬉しいじゃないか。
しかし世の中、そんなに甘くなく、人魚だと思って、喜んで良く見たら、ジュゴンだったりして。
ジュゴンは食べにくそうだなあ、でかくてさ…

そんな心配には及ばず、出てきたのはサンマであった。やはり、いつもの平凡な昼食である。
食べながらも、頭の中は昼からの仕事のことで一杯だ。
なんて仕事熱心なんだ、オレって奴は。
そんなだから、箸は機械的に飯や魚を口へと運んでいく。
ふと手元が狂い、魚の切れ端を下に落としてしまう。食べるという行為に対する集中力を欠いている証拠である。
落とした魚を拾い上げ、皿の脇に置く。
そしてまた、考え事をしながら機械的にその作業は続く。
ふと我に返って見れば、さっき拾ったはずの魚の切れ端がない。こんな摩訶不思議なことがあっていいものだろうか。良いわけがない。
なぜなら、それは次の様に考えられるからだ。

「食べちゃった」

つまり、食べることに集中し得なかったがために、その魚が拾った魚であると言うことを認識できず、無意識の内に食べてしまったと言うことである。
すべては、注意力散漫がもたらした、間抜けな行為であると言えよう。

食べてしまったものはしょうがない。
やはり、食べるときには食べることに集中しなくてはならない。せめて残りの魚は精一杯死力を尽くして食べることにしよう。そう心に誓った。

ふと見れば、魚には骨があるではないか。当たり前だけど。
のどに引っかかりでもしたら大変である。したがって、それをひとつひとつ丁寧に取り除きながら食べねばならない。
なんて、面倒くさいんだ、魚ってやつは。
しかし、そこから逃げるわけにはいかない。いまオレがやらねばならないこと、それは、魚を食べることに他ならないからだ。
そこまで気合いを入れる意味が分からない。

なにしろ一生懸命食べた。オレの集中力はここですべて費えてしまうのではないかと思うほど集中して食べた。
ふと気が付けば、なぜか皿の上のものは、一つ残らずなくなっている。
端的に言うならば、平らげたと言うことであり、どうやら、取ったはずの骨は、いつの間にか一つ残らず食べてしまったらしい。
食べることに集中した結果である。
集中力と散漫力、そのさじ加減が難しいのだ、オレには。

byクムラ〜


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