■たわごとですかーっ!!■



▼02/06/23【つい忘れてしまう】

人は、これはやらなきゃいけないなと思いながらも、つい忘れてしまうことがあるもので、宿題とか、仕事とかの類ではない、もっと何気ないごく身近なことにおいてでもそれはあるのではないか。
どこでそれが発生するかは人それぞれだと思うが、オレの場合それは風呂場だ。
1日が終わってホッとする、そんなひとときであることがいっそうそういう気分にさせるのかも知れない。
例えば「タオル」

タオルと言ってもいろいろあるが、オレが愛用しているのは、ナイロンタオルである。
体をほどよい刺激でゴシゴシ洗えるのがいいのだが、しかしながらこれが良くまあ、ブチッと切れるのだ。
背中に回したとたんに切れるのである。
切れたらどうするか。
取り合えず結ぼう。そう思う人はなかなかいないだろう。
だったら取り替えるしかない。

しかし、明くる日になると忘れてしまうのだ。そしてまた次の日もその同じタオルを使うはめになる。
切れたタオル、それはことのほか短い。
いまどきのタオルは短いのが流行だよね、などと言うこともない。
しかも、短いなら伸ばしましょうなどと言って引っ張ったところで何の変化もない。それがタオルである証拠である。

なにしろ短くなったタオルは、まるで柄のなくなった孫の手のように使いにくいことこの上ないのだ。
そしてまた明くる日も忘れる。
そんなことを数日繰り返していると、思わずオレの口からこうもれる。
「なんで、こう窮屈なんだ」
当たり前である。

それでも懲りずにそんなタオルを背中に回す。
とことんいつものスタイルを貫き通すその心意気は立派と言えよう。
しかしそんな心意気は誰も認めてはくれない。
なぜなら、それは人知れず取っている行動だからだ。
だからって、人前でそんなスタイルをお披露目してどうするんだ。
それじゃあまるで、ミスター乾布摩擦じゃないか。
やだよ、そんなミスターは。

なにしろ、取り替えないといけないなあ、と思いつつもつい忘れてしまう。それがタオルなのである。

まだある。
「シャンプー」だ。
オレは、昔からメリットシャンプーを好んで使っている。リンスのいらないやつである。しかもポンプ式。その昔、ことあるごとにこのシャンプーのことを、ウケを狙ってこう言った。
「オレはいつも、デメリットシャンプー、、、」

だれも相手にしてくれない。むしろ冷ややかな視線がいっそう寒い、そんないわくつきのシャンプーである。
それでもオレは使い続ける、メリットシャンプーを、、、
ブラボー!メリットシャンプー!

そんなことはどうでもいいのだ。なにしろ忘れるのだ。シャンプーの補充を…
そろそろ少なくなってきたかな、程度では序の口だ。
ポンプを押して2、3回、シュポシュポと軽い音が鳴ったくらいでは、まだなんとかいけるだろうと判断する。
しかし、それも長くは続かない。
そして、ついにそのシュポシュポがけたたましいシュポシュポとなり、ついに出なくなってしまったとき、オレはこう言うのだ。
「いよいよ交換しなきゃな」
ついに出た、交換宣言である。

そして次の日…
「あっ」
しかたなく、シャンプーを薄めて使うのであった。

このような忘れっぽさは、結果的に物をとことん使いきる、即ち、物を大事にするさり気ない心とも言えなくもないのではないか。
そうやって自分を慰めたところでなんの得にもならない。
単なる自己満足であるからだ。

しかし、ここまではまだ、「もう、忘れんぼさんなんだから」、とおでこを軽く突っつかれる程度の範ちゅうで事は済んでいる。
しかしこれでは済まされない事態がふいにオレに襲いかかる。
湯船に浸かりながらふと思うのだ。
「あれ? さっき風呂入ったよな、たしか?」

何を言ってるんだ、おまえ。
これはまあどう言ったらいいのだろう。忘れんぼさんどころの騒ぎではない。
このままほっとけば、繰り返し延々と風呂に入り続けることになるだろう。

湯あたりするじゃないか。

規則正しい生活はときとしてこのような悲劇を生む。

byクムラ〜


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