<悲しきパーマ初体験>

田舎の悲しさか、その床屋の主人、ほとんどパーマの経験がなかった。
手元がどうも怪しげで、おぼつかない。でもオレも始めてだったのでこんなもんなのかな?なんて最初思っていた。しかしそのうちちょっと時間掛かり過ぎじゃないかあ?と疑い始めるくらい時間が経過してきて、こんなことならやめときゃよかったかな、とか後悔などもしたりしてあれこれ思っているうちに、なんとかロットも巻き終わり、液をつけて期待半分、不安半分でしばし待つ。
そしてロットを取って無事出来上がり!と思いきや、鏡を見て愕然とした。
そのヘヤースタイルは紛れもなく、よく巷で見掛けるおばさんの、妙にでかい見慣れたあの頭なのであった。
床屋の主人の、「うまくいかなかったから料金半額でいいや」という言葉はいっそうの不安を掻き立てられこそすれ、なんの慰めにもならなかった。