「前田日明」引退に思う

先だって2月21日、リングスの前田日明が引退した。
引退試合の相手は、人類最強と巷が言う、アレキサンダー・
カレリンである。
私に言わせれば、カレリンが人類最強などとけっして思わない。
いったい誰がこう命名したのかは知らないが、前田にしたって
過去の対戦相手を見てみてもカレリン以上のライバルは枚挙に
いとまがないくらい居たわけで、前田の全盛期であれば
きっと勝てた相手であろうと思う。まあ結局推測にしか過ぎない
訳だけど。
さて、その引退試合、プロ対アマという訳であるが、
ほんとは、もうとっくにピークを過ぎたにせよ、前田には
ぜひともプロの底力をいやというほどカレリンに浴びせて
欲しかった。しかし、結果今日で引退する者とこれから
オリンピック4連覇を狙う現役バリバリの者との差が出た
格好になってしまった。
試合の流れを見た限り、往年の前田であればいくらでも
付け入る隙はあったように思う。
いくら人間を越えたパワーの持ち主であってもだ。
いかんせん、やはりスタミナがまったくなかった。
ブランクが半年以上と長く、判断力が鈍っていたのも一因で
あると思う。
たった一つの絶好のチャンスであった背後からの裸絞めも
結局前へ落とされて外されてしまった訳だけれども、本来は
脚を絡ませ相手の体と密着させるべきであったところだ。
これで本当は決まっていた筈だ。
ただ、ここまで判断するだけの力は残っていなかった。

次にこのカレリンに日本人がリベンジマッチできるとすれば、
シドニーオリンピックが終わった後、もうこの選手も
全盛期を過ぎた頃であろう。

前田が新日本プロレスを出てUWF旗揚げ、そしてリングス
設立と日本格闘技界に与えた影響は限りなく大きい。
これから前田を越えるようなカリスマ性を持った選手が
出てくるのを願うばかりである。