【極真空手の歴史変わる。】

極真空手世界空手道選手権、王座ついに海外流出。

平成11年11月5日〜7日
4年に1度、3日間に渡って行われる、極真会主催の世界空手道選手権。
過去6回に渡り日本が王座を死守してきたこの大会。
今回ばかりは、フィリョ、フェイトーザ率いるブラジル勢の
台頭により、戦前から日本危うしの声が方々からあがっていた。
大会当日、案の定、日本勢は次々とブラジル勢に敗れていく。
そんな中、日本のエース、数見は日本の看板を背負って一人勝ち進んでいく。
しかしながら数週間前の足の指の骨折と足首の負傷という満身創痍の
状態であり、得意の下段蹴りが思うように繰り出せないようでもある。
それでもなんとか気力で勝ち進んでいった。
一方、破竹の勢いのブラジル勢、予想通りBEST4にフィリョ、
フェイトーザが残る。日本勢にくらべてなんとも余裕で勝ち進んできた
ように見える。
準決勝で、数見とフェイトーザが激突。延長の末、数見が辛勝。
フィリョはロシア選手に危なげなく判定勝ち。
さて決勝、当初の予想通り、数見vsフィリョである。
主審がフィリョの師匠、磯部師範というところがちょっと気になった。
開始の太鼓が鳴る。しかし両者相手の出方を伺い、なかなか手足を出
さない、いや出せないというべきか。
後で分かったことだが、なんでも磯部師範がフィリョに対数見用の秘策を
授けていたらしい。
延長で勝負が付かなかった場合、試割でリードしているフィリョが
勝ちとなる。実は数見は試割の手刀で痛恨の失敗をしているのである。
そこで相手の出鼻を見切る戦法、つまり待ちの組み手の数見に対し、
通常は先手を取って攻めまくる戦法のフィリョであるが、これでは
数見の思う壷、そこでフィリョに対して自分から手は出さないように
と指示を出したらしい。勝つことは難しいかも知れないが、負けもない。
勝ちにこだわった戦法を取ったと言える。
結果、再延長の末、案の定両者決め手なく、体重判定へ。
しかしここでも判定上有効となる10Kg以上の差がなく
結局、試割判定へ。すでに結果が分かっている数見の顔には
精気がない。
フィリョ22枚、数見17枚。場内からどよめきが起こる。
極真空手の歴史が変わった一瞬である。
先代大山倍達館長が健在だった頃と比べ、日本人選手に
死に物狂い、死中に活の殺気が感じられなかったのは
私だけだろうか?

王座を海外に持って行かれたとは言え、フィリョは紛れもなく
立派な極真門下である。
これからは、フィリョには極真会の代表として、K−1で
活躍することを切に願うものである。