K−1グランプリ2000 決勝戦

               2000年12月10(日)東京ドーム

■準々決勝
○アーネスト・ホースト<4R延長判定>ミルコ・クロコップ×
万全の体勢で挑んできたクロコップも、それ以上のホーストには、なかなか付け入るスキがなく、決め手がみいだせない状況が続いた。延長でミルコの手がほとんど出なくなり、ホーストの優勢勝ち。ホーストの巧さと老かいさが目立った。

○フランシスコ・フィリョ<5R延長判定>ステファン・レコ×
欠場のバンナに替わって出場のレコ。フィリョにとっては格下の相手ということでほんとはもっと楽に勝たなければならない試合。しかしなかなか決め手がない。逆にレコのパンチで攻め込まれ、一瞬危ない場面もあった。見た感じほんとに僅差の判定だったように思う。

○ピーター・アーツ<3R本戦判定>シリル・アビディ×
アビディは予想通り、ゴングと同時に果敢な攻め、もうほとんどケンカだ。それをなんとかアーツは凌ぐが、いつどうなるかまったく分からない状態。そう言った中1R、アーツのパンチがアビディの顔面にタイミング良く入り、スリップダウンぎみにアビディが尻餅をつく。これがダウンとなるが、アビディにダメージはない。2R以降も相変わらずのアビディのがむしゃら攻撃にアーツはかなり手を焼いている状態。そしてアビディは密着するアーツを思わず投げてしまい注意1を取られる。そして最終ラウンドも残り数十秒、アビディのバッティングがもろにアーツの額に入り、瞼をカット。傷はかなり深いようだったが、診断後、なんとか試合は再開し終了のゴング。1Rのダウンと度重なるバッティングの減点でアーツの判定勝ち。しかし、傷の具合が心配である。

○レイ・セフォー<1RTKO>武蔵×
武蔵は両手だらりの余裕の構え。ちょっと緊張感がないようにも思える。それが仇となり、セフォーのパンチがタイミング良く武蔵の顔面に入ったところで、セフォーのパンチのラッシュ。武蔵は前屈みで横を向いた状態でパンチを浴びる。ここで一度目のダウン。そして数十秒後、再びセフォーのパンチのラッシュが火を噴き、武蔵たまらずダウン。そしてTKOとなる。武蔵は相手を甘く見すぎていたのではないか。

■準決勝
○アーネスト・ホースト<3R本戦判定>フランシスコ・フィリョ×
決め手はないが、ホーストの攻撃ばかりが目立つ試合だった。フィリョはまったく元気がない。なんでも風邪を引いていたとのこと。しかしそれにしてももう少し手を出して欲しかった。終了ゴング間際に、やっと攻めらしい攻めがあったくらいで、まったく見るすべがない。優勝候補のバンナとベルナルドがいないこのときこそ、優勝のチャンスだったはずなのに、ほんとに残念だ。

○レイ・セフォー<1RTKO>シリル・アビディ×
結局、アーツは先ほどのケガの具合が重く、試合不可能とのアナウンス。替わってアビディが再び浮上。この辺のルールはなかなかいけてると思う。観客も大喜びだ。この試合はほんとに面白かった。この日のベストバウトに私は上げたいところだ。両者とも一進一退、どちらか先に当たった方が倒れる、と言った様な試合運び。そしてついに、セフォーのカウンターパンチがタイミング良くアビディの顔面に入り、まずはスタンディングダウン。その後、アビディも反撃するが、再びセフォーのラッシュ。それでもアビディはなかなか倒れなかったが、ついに膝をつきKOとなる。

■決勝
○アーネスト・ホースト<3R本戦判定>レイ・セフォー×
ホーストがやはり一枚上といった感じの試合だった。セフォーの攻撃はことごとく交わされ、まったく攻めの体勢に持っていけないといった感じ。それとももう攻める力もすでに残っていなかったのかもしれないが。結局、ホーストの攻めばかりが目立った試合で、文句なくホーストの判定勝ち。優勝、そして連覇達成の瞬間である。


全体的に淡泊な試合が多かった。KOもセフォーの試合だけだった。そんな中、この大会を盛り上げてくれたのはアビディだったような気がする。新鮮だったし、びっくり箱的な試合がほんとに退屈しなかった。来年がほんとに楽しみな選手だ。今回欠場の対バンナ、対ベルナルドの試合なんかは是非とも実現して欲しいカードだ。